
広い境内は、かつて新選組の武術軍事調練場となっていた。
壬生塚には新選組隊士たちの墓が並び、全国から歴史ファンが訪れる。
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参加者(0):ROM(1)
Time:00:15:55 更新
ご案内:「壬生寺」から紀谷榛高さんが去りました。
■紀谷榛高 > …解ってるよ。東京に戻ったら、………ああ、そうだ、そういえば、一度うちに連れてきなさいって、言われてるんだ。それも東京に戻ったら、宜しくお願いします(紀谷家の温厚な両親とややブラコンをこじらせている兄弟たちの間で、いま『椿明稀彦』は時の人だ。東京、と計画立てているとふとそれを思い出して、正月の挨拶にでも行こうと気軽に誘い)そ、そんな、言ってませんよ…!絶対に言って、言、…………言ってました、か?(本当に?と訝る視線。自分では、言ったのかそうでないのかさっぱり記憶が無かったが、自信を持っていわれると、言ったような気もしてくるのだから恐ろしい。マネージャーさんに初めて会って挨拶をしたり、慌てて着替える相手にネクタイを選んであげたり、ある意味夫夫らしいと言える時間を過ごして、会食へ出掛ける相手を見送った)
ご案内:「壬生寺」に紀谷榛高さんが現れました。
ご案内:「壬生寺」に紀谷榛高さんが現れました。
ご案内:「壬生寺」に紀谷榛高さんが現れました。
ご案内:「壬生寺」から椿明稀彦さんが去りました。
■椿明稀彦 > 一緒に、行きましょうね。俊介の墓参りに僕を置いて行ったら、今度は僕が拗ねますから。(約束、と言わずもがなの言葉を交わす。嘗ての自分の墓を見つめる気持ちが、どんなものかはまだ分からないけれど。傍らに伴侶が居てくれれば、いつだって、未来に向かって歩いていけるのだと、確信している。嘗ての恩師への感謝を心に刻みつつ。首を落とした逸話は、その瞬間を見ていたのはほんの数人だけれど、埋葬に関わった人の口から伝わったりしているかもしれない)……どこにも、行きませんよ。貴方の居ない所では、生きている価値も無い。(心中めいた会話さえ交わした昨夜を思い出しながら、痕、と指摘すると、怒る相手に分かっていながら顔が笑ってしまい)……だ、だって、最後「良い?」って聞いたら、うんって言ったじゃありませんか、……それにほら、この位なら大丈夫かなって、……明日には消えますよ、きっと。ね?(相手が朦朧としている内に、勝手に言質を取った模様。謝りながらも満面の笑みが引っ込められなくて、おかしな顔になりつつ。マネージャーからの電話で、時間に気付いて慌てるのが、数分後のこと。それからタクシーでホテルに戻り、大慌てで着替えて会食に出掛けただろう)
■紀谷榛高 > ……東京、…それじゃあ向こうへ戻ったら、俊のお墓参りもしないと。自分だけ放っておかれたら、あの子は拗ねてしまうだろうし(墓石を見つめたまま、目を細める。己の亡骸、空っぽの容れ物と、城沢前局長へ捧げた思いが眠っている、此処を見に来られたことは、きっとこれからの人生の支えになるのだろう。深く胸一杯に、冷えた空気を吸って)何も言わずに隊で使い続けてくれて、俺の過去も背負ってくれたのに、勝手なことして腹切って、酷い部下だったなァ、………そりゃあ、違いないや(抱き首にせずに首を落としたことも、もしかすると逸話として伝わっているのかも。悋気を起こす相手に、笑いながら肯定して)…昭彦さんこそ、どこか行ったりしないで下さいよ?ずっと大事に、守りますから。……――――ん?なに……(ここと示された箇所にぺたりと掌をあてて目を瞬かせるが、最後まで聞くと、目を見開く。和服ではどうにも隠せない位置に残された痕に、何てことをするのかと目を白黒させ)………あ、痕、つけないでって言ったでしょう……!!
ご案内:「壬生寺」に紀谷榛高さんが現れました。
■椿明稀彦 > 東京の、宇喜多家のお墓に入ってますよ。……養子だったのに、有り難い話だ。(本当の先祖の墓はもうどことも分からない。観光地ではないから、自分も参った事はないけれど、と眼を細め)……そう、かもしれません、……雄さん、嘘は言わないから、言えない時は何も言わない、そういう人だったから。(介錯役の礼を言いに言った時も、ただ己が言いたい事だけ言って来たような、そんな事を思い出して、遠い過去に思いを馳せる。笑う相手に、また不機嫌を露わに眦を吊り上げ)……一番乱暴したのは、首を落とした俺だから良いんです。(藤堂の弾丸も城沢の無体も不問だと、何だか良く分からない悋気を燃やしていた。手を合わせて、それから眼を開け)これから先も、一生、傍で守るから。だから嘉さんも、榛高と僕を護っていて下さい。(それは、墓石ではなく、傍らの相手に向けて。伴侶と改めて見つめ合えば、ふ、と笑み浮かべて相手の耳元に)……ここ、痕。(「付いてますよ」、と唇の動きだけで続ける。耳の後ろから首筋に掛けて、点々と残る昨夜の情痕。見つけて嬉しげに、ちょっと寝癖の残る後ろ髪を撫でながら、報告し)
■紀谷榛高 > …………宇喜多俊介のお墓は、何処に…?(病気で亡くなった、というような朧げな知識しかないから、何も知らないことを申し訳ないと思いながらも、訊ね。墓に関してはどうだったか、断片的な記憶を探り)……局長は、きっと、全てを知っていたのだと思う。俺が俊を慕わしく思っていたことも、城沢さんとの関係も。恐らくは、俊が俺に抱いていた感情も。(だからきっと、彼を介錯人として選んだのだろう。死の間際に限って、色々のことが見えてくるものだ。当時感じた局長からの厚情を、今もまた、有難く思い起こし)…身体も散々だったけどなぁ。城沢さん、乱暴で。(小さな声をたてて笑いながら、墓石の前へ立つ。己からしてみれば、手を合わせるのも、目を閉じるのも、全てが少し変な感じがする。優しく語りかける相手の傍らで、立ち尽くしたまま)
■椿明稀彦 > 『僕』は、初めてです……貴方を見つけてから、来ようと思って。(壬生寺自体は何度も来たけれど、墓参りに行っていたのは「俊介」の時だと、記憶の中の墓の場所へと先導するように歩き)……偶然なのか、雄さんの指示だったのかは、良く分かりませんけど。あの時は戦の最中だったから、……(気が付いたら諸々終わっていた)……嘉さんの身体が誰のものでも、魂は俺のだから別に良い、……って事に、しておきました、当時は。(ふん、と何か対抗意識を燃やすように、鼻を鳴らした。やがて目当ての墓の前に来ると、花と線香を上げて手を合わせ、目を瞑って)……なんか、安らかに眠って下さい、ってのも、変だな、……迎えに来たよ。
ご案内:「壬生寺」に紀谷榛高さんが現れました。
■紀谷榛高 > (眠気にかこつけてくっついていたいというのも、本音を言えば有ったのだけれど。タクシーの車内では、互いに式の最中のことなどを少しずつ話していたのかもしれない。墓へと向かい歩きながら、隣に並ぶ相手を見上げ)…ああ、うん。京都へ来る機会はあっても、なかなかお墓までは来ることも無くて。……昭彦さんは?(己は実を言うと、寺の中のどこに墓があるのかもよく知らない。進む方向を知っている様子の相手に、来たことがあるのかというような聞き方をして)……隣が?……そっか、……嘉邦にとっては、それが一番、良いのかも知れないけど。(足元へ視線を落とし、首を傾げて、ぽつりと。対抗するような相手の言葉に、嬉しそうに小さく笑い)
■椿明稀彦 > (昨夜も勿論朝まで寝かせなかった、新婚夫夫なのだ。車内でぐったりしている伴侶を見れば、もっとしたかった、とは流石に言えない、とか不埒な事を考えながらではあったが。結婚式当日の事を思い出して、参列してくれた人に限りない感謝を述べると共に、彼らの現在を車窓から思ったりした。タクシーを降りると、仏花の束を提げて境内を抜け、裏手の墓地へと向かい)……榛高は、嘉さんのお墓、初めてだったっけ?(今生では来ていないものの、新撰組時代には度々訪れた墓所へと先に立って歩きながら、会話を交わし)隣、城沢さんのお墓なんですよ……どうせなら、『紀谷昭彦』になってから来てやろうかな、と。
■紀谷榛高 > (ここ数日で精魂尽き果てた感のある己は、壬生寺へ向かう車の中でも、年甲斐も無く相手に寄り掛かってぐだぐだしていたかもしれない。身なりはきちんと整えてきた心算でいて、実は後頭部のひと房が寝癖でひょっこり跳ねていることにも、気付いていない。目的地に着いた当初こそ眠い目を擦ったりもしていたが、境内へ近付くにつれ、姿勢も顔つきもすっきりしてきて。表情はいつもより、少し堅いくらいかもしれない)
ご案内:「壬生寺」に椿明稀彦さんが現れました。
ご案内:「壬生寺」に紀谷榛高さんが現れました。
ご案内:「壬生寺」から槇広瀬さんが去りました。
■槇広瀬 > ……新撰組隊士は武士より武士らしいと言われていたし、きっと自分たちもそう思う事が誇りでもあったと私も思う。それであれば刀や武具には殊更執着したに違いないと、…そう、思います。(先日も、その不器用な性質故に親近感を覚えると知己に語った櫻庭。そして門脇の名も自分の中に深い感慨を齎す名のひとつだ。其処にやはり特別に興味のある宇喜多と樋高、その4人の書と成れば、まるで自分が読むためにあるかのようだと発刊当時は思ったものだった)……22時。では、私の部屋で。(そう言うと、何か用事の有るらしき彼を見送り。暫く、其処で立ち尽くす。動けなかった、というのが正しい。どのくらいそうして居たものか、気付けば辺りは闇に包まれていた。漸く自由になった足を踏み出す。車は何処に置いたのか、そんな記憶を引き出すのに苦労しながら)
ご案内:「壬生寺」から近衛忍さんが去りました。
■槇広瀬 > (急ぐ様子を見て引き留めた事を申し訳無さげに、幾度も頷くことで総てを了承。後程メールを入れておくという事を伝えて、今は彼のバイクの音が消えてしまうまで見送る心算)
■近衛忍 > (尽きる時刻に名残を惜しむ間もあらばこそ、追い立てられるように境内の外へ。相手に暫しの別れを告げて、自分は少し所用を済ませにバイクを九条方面へと向かわせる予定)
■近衛忍 > (相手から漂うオーラのようなものに呑まれそうだと思う。眩暈すらする。威圧感ではない。気魄とも言えるがそれだけでもない。もっと深い、底知れない、暖かく熱く烈しいもの。全身全霊という言葉が実体を持って目の前にあるようだ。彼は、彼自身が鞘に収められた日本刀。そして今、鯉口が切られ、眩しい刀身が光を放ったのを見た気がした)そう、彼らの本はたくさんあるのに、刀の本となると見つからない。大事にしていた筈なのに。銘刀に自ら別の名をつけた櫻庭、刀装具が紛失している門脇は特に謎が深いんです。(語り出しそうになったが、閉門時間を告げる声に門へと顔を向け。名刺を押し戴くように受け取って、書き加えられたのが部屋番号と知ると何度か瞬いた後)お邪魔します。土曜の夜で予定もなかった―――……22時ぐらいから、お伺いしてもいいですか?
■槇広瀬 > (自分には無い、その西の人間特有のアクセントも何もかもが直に心臓に浸みるかのような一種の酩酊感を感じながら視線を外す事さえできずにいる。「いつか何処かで」逢っている、それはもうそれこそが「理屈では無い」感覚だった。黙っていても際限なく溢れてくる感情と希求。次第に抑え切れなくなる飢餓感。自分の中に物心ついた頃からずっと抱えてきたブラックホールのような欠落が埋まっていく恐れにも似た深くて強い充足感は何だと言うのだろう。情事に溺れた訳でも無い。ただ、指先が触れて、言葉を交しただけだというのに)───ああ、そう、それだ。人物を掘り下げた書籍は幾らでもあるが、刀なんかに焦点を当てたものは中々無いから興味を持って。版数が少なくてもこの御時勢、入手できないなんて無いだろうと思っていたのに未だに読めていなかった。(著者である貴方に今日、会う為だろうか、と。本来、初対面の相手に口が裂けても言わないような、あからさまな口説き文句とも取れる言葉を口にする。しかしそれは本気で言っているのであって、口説きなどという軽々しいものでは欠片も無いのだ)……ええ、墓参りをしようと思って此処に。だけど確かにもう暗い、…日を改めた方がよさそうだ。それでも、(一緒に行ってくれますか、と。相手の質問責めも不快に思う様子は微塵も無い。寧ろ次第に眼鏡の奥で双眸が穏やかに細められていく始末。横で助手が見ていたら「明日は雷雨」などと言う事だろう)…────槇、です。槇広瀬。弁護士をしています。(すっかり脳裏から抜け落ちていた名刺を渡す。その前に片隅に書き込んだのは如何やらホテルの部屋番号)……今夜もシャレードですか。御予定が無ければ、良かったら食後にゆっくり話、でも如何かと。
■近衛忍 > おおきに、ありがとうございます。(衝撃と混乱にまだ曇りがちではあるものの、愛想良い笑顔で差し出されたヘルメットを受け取る。触れる体温、意志を放り出して勝手に絡め取ろうとしていた指は空を切ったが、代わりに意外なほどの強さを手首へと感じて硬直する。手を引いた相手の素振りから、自分も何事もなかったかのように振舞うが―――泣いてしまいそうだ。誤魔化すために明るい声を作り)ですよね。考えてみたら、こんなクールビューティーに会ったら俺が忘れるわけがない。……多分、ホテルでも……俺の方は、なあ。例えちらっとでも見えてたら……(続きそうな言葉を切って頷き、顔を輝かせ)『新選組四天王』ですか? 嬉しいなあ、そんなに部数刷ってないのに。新選組と言うより、俺の専門は古美術なんで、刀や持ち物の方の解説書ですけど。とは言っても、書けなかったことがかなり多くて。(石段を降りたところに大の男が二人立ち話という状況。脇を通り過ぎていく人に道を空けるように踏み出して)新選組、お好きですか? お墓参りは? 俺はこれからなんですが、良かったらご一緒にどうです? ああ、でも墓所に着く頃には真っ暗かな……(質問責めにと言うより、過ぎていく時間、急速に暮れていく日を惜しむかのように矢継ぎ早に。やがて言葉が尽きて、また相手の貌をじっと見つめながら)………名前。名前、教えてください。
■槇広瀬 > (やや時を置いてから先刻の派手な音源は石段を転がり落ちてきた彼のと思しきヘルメットと知る。然程の段数ではないとはいえ、あれだけの勢いで転がったなら破損しているのではないかと、拾い上げて軽く確認。向こうからも近付いてくるのに合わせて距離を無くし、傷が少し、と差し出すヘルメット。渡す瞬間に指先が彼の指先にほんの僅か、触れた)……────、(挙動不審は今度は自分だった。その瞬間、脳裏に己のようであり己では無い声が「離すな」と命ずるのを聞く。その声に従ったのか、もしくはそれ以前の無意識の行動なのか、ヘルメットを渡し終えた瞬間にその片手は彼の片方の手首をかなり強く掴んでいた。何処かで逢った事はないか、と聞かれるまで、自分のそんな行動に気付きもしていなかった素振りで慌てて力を抜くが、それでも離してしまうのが酷く辛い。離しても空間に留まりたがる自分の手を必死の思いで退き)……いえ、恐らく初対面、(そう口にはするものの意識が全力で否定している。それでも記憶の何処にも彼と対した時間は無い、…槇広瀬という弁護士の中には)……シャレードに、ですか。では其処で御見掛けしていたのかもしれない。私も常宿にしているから。……近衛、忍さん。(トレジャーハンター。それは日本の職業欄にあるのか、などと、常の自分なら言うのだろう、が、そんな気はおきてこないままに)……新撰組に関する本を書いていたりは。(以前、気になって購入しようとしたのだがどうしても手に入れられなかった、と)
■近衛忍 > ―――……(暫く、無言で見つめる相手の貌)……(口を開こうとして、噤む。恐らく今の自分の状態は異常だろう、お参りをしようと脇を抜ける人が訝しげな表情をしているのが視界の端に映るが、構うつもりは一切起きてこない。相手が動く、此方へと来る、それだけで、胸が高鳴る。生まれてこの方感じたことのないときめきに、思わず片手で胸を押さえ)―――あっ……と。(慌てて石段下へと転がり落ちたヘルメットを拾いに石段を下って相手と対峙し、何を口にしたものかと散々に迷う。意識や記憶を探っても、目の前の相手と会ったり話したりした記憶がなく、初対面と言っていいのだが)ええと――――――……どこかで、お会いしたことがありませんか。(漸く正気に戻るのは、掠れた声で囁くように絞り出してから)っと、怪しい者ではない……と、思う。俺は忍、近衛忍といいます。古美術商で、四条のシャレードに泊まってます。あ、これ名刺。(胸ポケットの名刺入れから一枚差し出す名刺の肩書きは「トレジャーハンター」。海賊船の意匠が施されている、胡散臭さ炸裂のシロモノである。“山師”との風評も一部ではあるぐらいで)
■槇広瀬 > (は、と更にもうひとつ白い呼気を吐き出した、と同時。少し離れたところで柏手を打つ音が幾度か聞こえた。しかしそれはこの場所では当然のことで振り返ってみるほどの事では無い。が。またそれより少し後)…───ッ、(今度はかなり派手な音が静寂を裂き、だんだん遠くなりはするもののその音は一度で終わらずに繰り返して響いた。流石に何事かと身体ごと振り向いて音の原因を探ろうとし視線を巡らせると一つの視線と真直ぐにかち合う。まるで時が止まっているかのような相手の様子と表情がどうにか判別できる距離だ)……───どうか、しましたか。私が何か、(遠い過去と今の自分が混ざり合ったような感覚は未だ処理し切れていないままに、それでも相手の尋常ならざる様子がどうしようもなく気になって歩み寄る。常であればけして自分がしないような行動に自分でも驚きが隠せない。加えてその姿がはっきりと視界に入る頃には、己の中の妙な感覚がまるで息衝くように鼓動と同化しているのを自覚しつつ)
■近衛忍 > すんません、先日は力いっぱい間違えました。時差ボケです。堪忍したってください。(きらりと白く光る硬貨を賽銭箱に投げ込んでから、二拝、二拍手、一拝。しぐさはきびきびと、あまり心静かにお参りをという風情ではない。さて墓参りに行くかと勢いよく踵を返したところで)……―――ッ!!!(視界から、一切の色が消えうせた。ある一点を除いては。視線の先にはたったひとりの、質の良さそうなコートを身に纏った男性のシルエット。彼自身モノトーンでまとめた影のようなのに、そこ以外が意味をなさない情報の奔流となって流れ去るような衝撃に、彼だけを見つめて呆然と立ち尽くす。小脇に抱えていたフルフェイスのヘルメットが落ちて派手な音を立て石段を転がるのも、ガラスの向こうの出来事のように遠い)