
京のはずれ、二条城からそう遠くない壬生の門前町に位置する屯所。
幕府重臣から借り上げた一町(109m)四方の大名屋敷のように広壮な平屋造り。
四方を堅牢な高塀で囲み、風格のある表門、式台、長廊下、使者の間、幹部の個室、平隊士の個室50、500畳の集会所、長屋、勝手元、物見櫓、大湯殿、牢屋、拷問用土蔵、土壇場(首斬り台)、厩舎を備えている。
頑丈な入母屋造り桟瓦葺き長屋門に出格子窓を取りつけ、観音開きの表門は数頭の馬が横一列で通り抜けられる広さを持つ。
市中巡回の隊士が頻々と行き交い、竹刀稽古の音が表通りまで響く。
天秤棒を担ぎ魚や野菜、シジミや豆腐、油揚げや焼き芋を量り売りする棒手売(ぼてふり)の聲が、のどかに遠く聞こえる。
【ロム可/ログ残留/この部屋のすべてのログはPC伝聞情報として利用可能です】
●この部屋には固定パスワードが設定されています。
参加者(0):ROM(1)
Time:01:49:52 更新
ご案内:「新選組屯所前の小路」から樋高惣二郎さんが去りました。
■樋高惣二郎 > (慣れた道を、苛立つくらい時間をかけて歩く事どれだけか。逆上せたように胡乱な意識と視界、汗が浮かぶ中。血の気が失せているのだろう体は酷く動きが悪い。惰性にも近い動作であと少し…。まだ あと 少し――。…と、不意に怪訝そうに名を呼ばれた。それが見知った者、恐らく卯の刻を前に朝を早くした隊士だろうと気付けば、何かを言いかけた声が音になる前に、愈々意識がぷつりと切れ、塀についた右手だけを最後まで残して崩れ落ちる。隊士によって屯所へ担ぎ込まれた後、至急松本先生が呼び出されるまでは半刻足らず。背後より左肩から袈裟懸けに斬られただろう傷は、背骨には至っていないが軽傷の類でもなく。縫合後も未だ意識を戻さない。その報が伝播するのは噂が先か朝の通達が先か。)
■樋高惣二郎 > ――――ッ!!、…ぁ゛…っぐ(呼吸と吐き出すような声がぶつかって息が詰まる。傷の程度は解らないが、「斬られた」事を経験が判断するまで数瞬。追い抜く影を視認はしたが、既に数歩と先に背を晒すばかり。多々良を踏みかけた肢体は、咄嗟に板戸塀伸ばした手をつき、爪を立て、辛うじて傾げる肢体を押し止める。其の時には影はすっかり夜に紛れ、この辻に足を踏み入れた時同様の静寂。ただ、背中にのしかかるような重さだけが違っている。呻く声。左腕に伝う血の感覚には――不味い。兎も角も屯所へ戻らないと非常に、不味い。…幸か不幸か下手人でさえ失せた今なら――なんとか支えを頼っては、向かう屯所。地に赤黒い痕がポツポツと残して)
■樋高惣二郎 > (十六日未明の事――。足は寒さ故に帰路に向き、土地勘から最短の道筋を選んで径を歩く。音は遠くに犬の鳴き声、シンとした空気に虫の音。下駄の乾いた音さえも生まれては直ぐに呑まれる夜だった。時間が時間故、人と滅多と行き合わない事で、周囲に巡らす意識が不足していたやもしれない。――それ以外の音は無かった、そう思う。顰めた足音も、抜身だっただろうか刀の鞘走りも鍔鳴りも。ただ、最後地を踏みしめる僅かな音が、辛うじてほんの僅か体を引かせた事だけが幸運か。それとも技量の御陰かは不明。とはいえ、決して十分とは言えない暫時。――避けるにしても、応じるにしても)
ご案内:「新選組屯所前の小路」に樋高惣二郎さんが現れました。