
切妻造桟瓦葺で、書院棟、客殿、南棟と庭を画し、四季折々の庭園景観を構成する。
武家屋敷らしい堅牢武骨な造りの中に、縁取りの透かし模様など名工の手なる凝った細工が施されている。
野筋を模した庭の配石と佇まいを臨む。苔むした岩や古木の根元を風に乗り舞い落ちた落葉が彩る。
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参加者(0):ROM(1)
Time:01:33:53 更新
ご案内:「渡り廊下」から櫻庭芳野さんが去りました。
ご案内:「渡り廊下」から宇喜多俊介さんが去りました。
■宇喜多俊介 > (彼の懸念は、分かっている、というように頷く。己にも本当の所は分からぬのだから。言葉にせずとも、幾多の闘いを共にしてきた相手の言葉が頼もしく)……ありがとう、芳野さん。(もう表情の作り方すら忘れてしまったような頬に、微かな、ほんの微かな笑みを浮かべて、その場を後に)
■櫻庭芳野 > ……────俺の、銃に。(その力が未だあるのか判らない。撃ち込んでもそれが本来の鬼封じの効力を持つのか、持たぬのであれば彼を傷つけるだけなのではないかと思いながら)……──判った。俺は時間はあると思うから、もし御前に時があれば話そう。これだけは言っておく、…───今の俺に出来る事であれば、俺は御前の頼みを受けると。(身を翻す彼の背にそう言って。彼の上官へ対する意識が理解できるのも、きっと己くらいのものだろうと。だが今はそれは口にせず、見送り。そして己も戦場へと戻っていくだろう。血に濡れたままの愛刀を抱いて)
■宇喜多俊介 > ……今日は、もう行かなくちゃ。(出撃の時間が迫っているのだろう。考えておいて、と身を引くと、この先逢えずとも、「始末」を頼みたい旨を伝えれば、己は身を清める為に相手と別れ、己の血に濡れた脇差しを手に井戸端へと向かい)
■宇喜多俊介 > (彼の目尻に光っていた涙の事だけは、語らなかった。眼の縁から零れ落ちなかったそれは、彼なりの矜持のような気がして。己の頬に飛んだ紅を舐める相手の仕草、表情を何とも言えない顔で見上げて。「説明」を終えると、脇差しを下ろして)……俺を、……撃って。それで駄目なら、他の方法を探すしかない、けど、……(貴方にしか頼めない、と語るのは見上げる眼差しだけで、声には出さず。吐息と共に、目蓋を伏せ)……これも、報いなのかもしれない。……だけど俺は、「あの人」を許せない。あの人に、部下の命も、戦友の命も預けられない。(語る言葉は、復讐に我が身を落とした「鬼」の言葉でありながら、己の信念に従う一人の剣客のものでもあったから。そこに迷いは無かった。だが「私闘」で副長を斬れば、どんな沙汰が下るかなど、言う迄もない事で)
■櫻庭芳野 > (恐らく彼は己が笑んでさえいる事に対して驚く事も無いだろうと、その予想通りの様子に笑みが深まる。静かに語られる「最期」の有り様。恐らく、その死に顔も己は目にする事は無いだろうと、彼の言葉とその響きを一切一句たりとも聞き逃すまいというように幾度か頷くままに。差し出される神鳴りをそっと受け取った。ふと、彼の頬に滴る朱を見て手を伸ばし。拭うように静かにその指先で触れると、掬い取った朱を己が舌先に載せた。広がる鉄錆の匂いと独特の味に一瞬恍惚とも言えるような表情を浮かべたが、不意に。何か、互いの間にある空気が違って居る事に思い至る。既に己に封魔の力は無いも同然だが、その感覚神経までもが失われている訳では無く。言葉で言い辛そうにしている彼が自らの腕に刃を立てようとする仕草を見て、ああ、と眸を笑みとは違う色に細めた。思った通りの治癒能力に一度視線を伏せた後)……どうすることも出来ないのだろうか、もう。
■宇喜多俊介 > 終わりました。(微笑む相手の表情に、疑問を抱いたような様子も無く、ただゆっくりと頷いて)……立派な、最期で……穏やかな死に顔でした。(彼の辞世の句は、きっと後から耳に入るだろう。有難う、という言葉には首を横に振るものの、そのまま、という相手の言葉には、そう言うと思った、と言いたげに微笑すら浮かべて、刀の柄を相手に向けて差し出す。渡殿の高さがある分、己の顔に幾らかの赤い雫が飛んだ。近くに寄れば、「人為らざるもの」を討つ力と使命を持つ相手の感覚には、恐らく明白だろう。その気配が、数日前に顔を合わせた時とは、最早存在そのものが違っている事に)……それは、……(言葉にするのは難しくて、差していた別の脇差しを抜き、己の左腕に添えて見せた。神速の剣の無造作な一閃。刃は深く肉を引き裂き、鮮血が溢れる。だが次の瞬間、異常な速度で傷口が再生していき、一筋の痕を残すのみとなり)
■櫻庭芳野 > ……───ああ、(声を掛けられて空から視線を地に返す。彼が其処に居るという事は、すべてが滞りなく終わったということだ。双眸が細められる。何故、こんな時に微笑むのか、と問う者も居るかもしれない。が、今この瞬間の自分には、目の前に居る男には喩えようのない感謝しか無く。その手に捧げられている刀が己の愛刀だと知るや、真紅に染まるその刃を愛しむように見下ろした)有難う、という言葉では足りないが、それしか言う言葉が無い。……それを、そのままくれないか。洗い落とさなくていいから。(そして静かに彼の目を見遣る)……宇喜多。俺に頼みというのは。(彼の刀と共に受け取った紙片。その内容を彼に問う。彼の状況は聞いていた。「何が」彼に起こったのかも、それで大凡は考えていたが)
■宇喜多俊介 > (未だ、刃に滴る血を洗い落としもしない侭。井戸の元に向かう途中だったのか、剣を下げて庭を歩いてくる浅葱の隊服姿。渡り廊下の上の相手を見つけると、足を止め)……芳野さん。(もう伝令が、伝えているかもしれない。己も長居をするつもりはない。吹き荒ぶ風の中、男にしては控えめな小声で声を掛け)
ご案内:「渡り廊下」に宇喜多俊介さんが現れました。
■櫻庭芳野 > (今、だったのだろうか、と思った。今、懐紙に包まれた刃を、その身に突き立てたのだろうか。一度そう思ったら、そうだとしか考えられなくなった。月を見上げたままの双眸がその痛みを耐えるように細められる)…───咲いた花なら散らねばならぬ、恨むまいぞえ、小夜嵐。(京の廓で良く耳にするのは和歌でも俳句でも無い、都々逸だ。彼もよく口にしていた記憶がある。独特の節をつけて、あの声が。そんな彼の逝く道を、飾るように口にした)
■櫻庭芳野 > (一度は彼を己が手で斬り、自らも死のうと思った。それでなければ吸血の鬼に愛刀で斬りかかり、殺せはしないまでも腕の一本、いや一太刀だけでも奪ってやろうかとも思った。上官に殺す勢いで斬りかかればそれ即ち死罪と成ろう。それで死ぬ事が出来る、そんな事も考えた。が、結局、今この大局鳴動する霜月に隊長が副長に私闘以外の何物でもないそれを仕掛ける事の馬鹿さ加減にその考えも捨てた。だから、きっと。大分待たせる事になるのだろう、それでも恐らく)…───ずっと、待ってました、と。また言ってくれるよなァ、……───、(口にした瞬間。不意に、何か、息苦しさを感じた気がした。苦しい、というのだろうか。何か、身体の奥が抉られるような、痛みを)
■櫻庭芳野 > (己が愛刀が彼の首に振り下ろされるならば、彼の魂が共に在るその身体に最後に触れるのは己だ、と思う。その血を纏い、肉を斬り、骨を断ち、視界を覆い、呼気も声も消して、そして。命を奪う。誰にも渡さない。吸血の鬼が啜った分の血液だけが奪われたままだ。それを思うと腸が煮えくり返るが、牙の痕だけはその夜の内に己が犬歯を深く埋め込み噛み切って消した)……また待たせる事になるがなァ、だからと言ってあの世で色男にフラつくなよ、(それは完全に軽口だ。彼がそんな魂で無い事は知っている。自惚れでは無く)
■櫻庭芳野 > (介錯人である宇喜多に託した神鳴りは、常日頃もさることながら、僅かの曇りも刃毀れも無く、己が手で愛しむように長い時間を掛けた手入れの後に届けていた。斬れぬという事は万に一つも無い。加えて宇喜多の腕ならば尚の事だ)案ずる事は何も無い、…───大丈夫だ、(口にする言葉は此処に居ない誰かに向けてものなのか、それとも己へ言い聞かせる為のものなのか判別はつかない。きっと両方なのだろう。つい、と。視線がまた、空へ向く)
■櫻庭芳野 > ……そろそろ、か。(刻限は予定されていた時をやや過ぎた頃だろうか。中庭の方角へと視線を向けるも、やはり建物に遮られて見える事は無い。それでも暫くそちらの方へ顔を向けたまま、時折、何かを思い出す様に静かに双眸を伏せたり、口許に笑みさえ浮かべる事もしている。恐らく無意識だろうが。脳裏に過ぎるのは様々な事。気付くと遠い昔の事を思いだしていたりでそれが可笑しくてひとり、笑う。昔も、そして今生でも、過ごした月日はけして長いと言えるものではない。それでも、)……思い出す事は、不思議と結構あるもンだよなァ。
■櫻庭芳野 > (血と埃でやや汚れた隊服を纏い、渡り廊下の中ほどへ出て行く。見上げればいつものように天に月。生憎、雲が少し多いようだがその光と姿を隠してしまう程では無い。時折そうしているように、木の欄干に手をついて軽く身体を預けて視線を流す。此処から何が見える訳では無かったが、見上げれば)…────何処からだって、月くらい見えンだろ。(雲に負けず皓々と光りを地に注ぐ月。なァ、と、同意を求めるように口にするが連れは居ない)
ご案内:「渡り廊下」に櫻庭芳野さんが現れました。
ご案内:「渡り廊下」から櫻庭芳野さんが去りました。
■櫻庭芳野 > (寒い寒い、と繰り返しながら木枠から身体を起こす。ただ静かに其処に在り続ける月に「またなァ」と挨拶を。そうしてひとりゆっくりとした足取りで私室へと向かい去った)
■櫻庭芳野 > 世の中、思うようには廻らねェなァ……(己を見下ろす月に語り掛けるようにぽつり、口にする。何もかもがその一言に集約される今現在の自分の状況だった。自分の事も、他人の事も、組の事も、市中引いては大局の情勢も。これが、何かがきっちりと嵌るように、はじめからこう在るべきだったのだとでも言うように、終息するなどという事が有り得るのだろうか。そんなことをつらつらと考えながら煙管を銜える。暫くそうしていれば夜気が身に纏わりついて、そろそろ肌寒く感じられてくる頃)
■櫻庭芳野 > (夕飯を終えた後、何と無く部屋に戻る気にならずふらりと渡り廊下に脚を向ける。長い事そこでぼんやりするには気付けばもう既に外気が冷たすぎる季節になっていたが)……一服くらい大丈夫だろ、(己に答えるようなそんな一言。木枠に軽く身体を預け、夜空に浮かぶ黄色い月を見上げながら愛用の煙管を口に銜えて燻らせている。考えなければならない事も、しなければならない事も沢山溢れすぎるほどだが。ふ、と肩の力を抜いて、吐き出す紫煙を闇に融かし)
ご案内:「渡り廊下」に櫻庭芳野さんが現れました。
ご案内:「渡り廊下」から葛岡馨さんが去りました。
■葛岡馨 > ……何だか…良く無い予感がするんですよね…(勘や運が昔から良い所為か、そう言う類の自分の予想や予感は何となく気になってしまって仕方が無く。しかし現段階で答えが見えないならば、これ以上考えた所でどうにもならないという事に思い至り)……そろそろ、戻りますか…(ぽつりと諦めた様に呟いて手を下ろす。そして再び歩き出し、まっすぐではなく少し寄り道をしながら自室へと)
■葛岡馨 > (何を考えるでもなく立ち止まって居たが、ふと意識がもどってくれば、途端先程まで頭を巡っていた事が次々と甦り。自然と眉間に皺がより、手を顎に当て考えこむ様な格好になって)……長州藩で………関係があって……その上、…齧った…痕?(ずっと考えていた事がつい、珍しく独り言となって口をつぐ。考えども考えどもわからず、何だか泥沼に嵌って行く様な気分になり、知らずその口から溜め息が吐き出され)
■葛岡馨 > (一度は私室に戻って休もうと思ったものの、色々な事が頭を巡り寝つけそうになく。何となく夜の散歩(と言っても屯所内だが)に繰り出す。特に当ても無く適当に歩いていたが、通りかかった渡り廊下で足を止め)……月…(そこから見える夜空を見上げて、暫しその光をみつめながら惚ける)
ご案内:「渡り廊下」に葛岡馨さんが現れました。
ご案内:「渡り廊下」から櫻庭芳野さんが去りました。
■櫻庭芳野 > (自分は如何考えても夜のイキモノだとも思う。別に昼に出歩くのが難儀だとか朝が弱いとかいう事ではないが。夜の方が何と無く、自分を受け入れてくれている気がしてならない)…誰かに言っても笑われるのが落ちだが。(小さく肩先を揺らがせると欄干から身を起こす。そして煙管を口元に銜えなおしながら、渡り廊下の向こうに姿を消していく)